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【ストレス・抑うつ対策】運動・瞑想・リラクセーションの効果【脳の最適化】

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ストレスを回復させるシステムが人間には備わっています。そのシステムを高め、上手く活用していくための方法として「運動や瞑想」が挙げられます。この記事ではストレスとそれに対処する対策を述べていきたいと思います。

 

 

ストレスと脳の回復力

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平衡状態とストレス

人間は絶えずストレスに曝されています。しかし一方でストレスを緩和させ回復させる能力も人間には備わっています。

 

人間はいつも平衡状態にあります。平衡状態はとは一般的な普通の状態だと思って良いでしょう。これがプレゼンテーションの前だとか、スポーツの重要な試合の前だとかになると、急に胃が痛くなり、手が汗ばんできて、ストレスを感じていることを実感できるでしょう。このとき人間は明らかに平衡状態から外れています。

 

しかし、一時の仕事を終えると、人間はストレスがある状態から回復することが出来ます。仕事が終わった達成感や心配事が無くなったために、容易に平衡状態に戻れるのでしょう。

 

しかしストレスが慢性的に溜まった状態というのも考えられます。このとき人間は適切な判断能力を失い、更にストレスから回復するための行動や思考からも遠ざかってしまい、悪循環に陥ります。

 

良いストレスと悪いストレス

スポーツの試合前や、プレゼンテーションの前などの、一時期のストレスは良いストレスです。このとき人間は判断力や思考力が高まり、自身の持っている最大限の能力を発揮するのに一役買ってくれます。

 

しかし、ストレスが慢性化すると、突如「悪いストレス」として人間に作用します。実は「良いストレス」と「悪いストレス」が人間に掛かっている時、人間の体に分泌されている物質としては同じものなのです。通常は良い働きをする物質も、慢性的に分泌され続けると悪影響を及ぼします。

 

基本的に、私達が嫌だと感じるストレスは慢性的なストレス(悪いストレス)の方です。

 

ストレスからの回復

良いストレスを感じるとき、交感神経系の働きによって心拍数や血圧、代謝を上げ、更に記憶力や免疫力も高まっています。一仕事を終えると副交感神経系の働きによって平衡状態に戻っていきます。

 

交感神経系と副交感神経系が人間の平衡状態を保つ役割を担っており、これはストレスから回復する能力と大きく関連しています。

 

人間にはストレスから回復するシステムが備わっているのですが、それが上手く作動しなくなると、ストレスを貯めこんでしまい、「悪いストレス」を感じるようになってしまうのです。

 

この回復システムをどのように使い、どのように高めていくかを学ぶことが重要だと言えます。

 

ストレスと抑うつ状態

ストレスが人間の能力を高めることを述べてきました。その際にはコルチゾールという物質が分泌されます。コルチゾールは記憶力や免疫系を強化することが知られています。

 

一方でコルチゾールが慢性的に上昇した状態であると、脳に悪い影響があることも分かっています。記憶力を司る海馬という領域が減少することが観測されています。

 

実は抑うつ状態になっている人にはコルチゾールの濃度上昇という傾向があります。いわば慢性的なストレス状態です。抑うつ状態というのはアルツハイマーなどのリスクが高まることも知られており、明らかに脳へダメージを与えていることが分かります。

 

上手く自分を平衡状態に持っていく回復システムを使うことができれば、ストレスから解放されるだけでなく、抑うつ状態を回避し、更に脳へのダメージも緩和することができるのです。

 

 

ストレスを解消する方法

運動

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神経細胞に良い効果

慢性的なストレスは神経細胞の死に追いやり、更に新しい細胞が作られることも妨げます。それとは対象的に、有酸素運動は神経細胞の新生と結合を強めることが知られており、ストレスと真逆の効果を有しています。

 

眠りに良い効果

ストレスは眠りも妨げます。ストレスを抱え込んで、あれこれ考えこんでしまうと、夜に全く眠れなくなってしまうという経験をしたことが誰しもあるかと思います。更にその状態が慢性的に続くと、「今日も眠れない」という感覚が身についてしまい悪循環に陥ってしまいます。

 

このようなケースに対して最近は、眠くなるまで布団に入らないという方法が推奨されています。「布団に入っても寝れない」というイメージを体に定着させないためです。

 

一方で適度な運動は身体にちょうどいい疲労感を与え、眠りへと誘ってくれます。

 

運動部に入っていた人には分かることかと思いますが、部活から帰った後の疲労感には全く逆らえなかったでしょう。「運動の疲労感よって眠くなってしまう」ため、眠くなるまで布団に入らないということも自然と実践できる形になるでしょう。

 

ストレスや抑うつ状態を緩和する

運動は、もっと直接的にストレスや抑うつ状態を緩和します。

 

気分を良くする神経伝達物質である「エンドルフィン」の分泌を活性化するためです。エンドルフィンは、自分への信頼を深める方向へ思考を導いてくれます。

 

エンドルフィンには鎮痛効果などもあり、幸福で健康的な感覚をもたらします。エンドルフィンは運動以外にも、痛みを感じた時(鎮痛作用が働く)、幸福を感じている時、愛を感じている時などにも分泌されます。

 

 

リラクセーション

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太極拳、ヨガ、散歩

太極拳やヨガ、散歩などを通じてリラックスすると、血圧が下がり、呼吸や代謝を落ち着かせることで身体の緊張を解いてくれます。これはストレスに曝されている状態とは真逆であり、心身ともに癒やしの効果を与えることが期待できます。

 

特に自然の中を散歩するのは、誰にとっても気軽にできることです。しかも、自然の中の散歩は、次に述べるように脳の機能を高める効果も観測されています。

 

自然の散歩だけでもOK

自然の中を散歩すると、自発的注意力が高まり、脳の機能を向上させてくれるという結果があります。実験は以下のとおりです。

 

  1. 35分間、注意力を疲弊させる課題に取り組んでもらう。
  2. 自然の中を散歩するグループと、街の中を散歩するグループに分かれる。
  3. 50分間それぞれの環境下で散歩を行う。

 

この結果、自然の中を散歩した人の自発的注意力が優位に高かったことが示されたのです。実験者の考察では、自然環境そのものが脳に良い影響を与えているというわけではないそうです。

 

街の中には自動車や信号など、もともと注意しなければならないものが配置されており、選択的に注意を向けるということを行います。一方で自然の場合は自発的に色々なものに目を向け、自分から何かを発見するという行為を行うことになります。この結果、自然環境での散歩が自発的注意力の向上に繋がったそうです。

 

ですから、街の散歩でも知らないルートで新たな発見をしようと試みれば、脳に良い効果を得られるのではないでしょう。

 

ポジティブシンキング

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感謝日記を書く

ポジティブに物事を捉えると、幸福感が増し、ストレスレベルが下がります。

 

定期的に感謝日記を書くようにしましょう。些細なことでも構いません。感謝の気持ちを感じた出来事を綴っていきましょう。それは紙媒体でもブログのような形式でも良いでしょう。

 

この行動が、身体的・情緒的健康を著しく向上させることが報告されています。

 

ストレスそのものをポジティブに捉える

良いストレスと悪いストレスがあることを言いました。

 

プレゼンの前にストレスを感じると、脳の機能を高める一方で、これが慢性的に続くと脳細胞を破壊し、諸刃の剣となってしまいます。ストレスを感じ、緊張するシーンを毎回嫌だなと捉えてしまうと負のスパイラルにハマり込んでしまうのです。

 

そこで、程よくストレスを感じることは良いことであると自覚するようにしましょう。緊張をしている方がむしろいい結果が出るのです。大切な場面でストレスを感じることは何もおかしいことではありません。弱いからではありません。良いことなのです。

 

大学院試験を受ける学生たちを2つのグループに分けて実験を行いました。実際にポジティブシンキングをしたグループはしなかったグループに比べ成績が上位になる傾向が見られました。

 

 

瞑想

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肝は呼吸にあり

交感神経系と副交感神経系が通常の状態とストレスが掛かった状態のバランスを保っていることを述べました。通常これらの神経は自動的に役割を担います。

 

しかし呼吸を用いると、交感神経系と副交感神経系に能動的に働きかけることができるのです。

 

肺に息を送り込み、そして肺から息を吐き出す行為が副交感神経系の影響を高めてくれるのです。従って、適切な呼吸法を用いることでストレスレベルが高い状態から、速やかに平衡状態へと戻す作用を強めてくれることになります。

 

 

瞑想は種類が豊富

瞑想は種類が豊富です。

 

  • 何も考えない状態(通常の瞑想)
  • 特定の対象に意識を当てる(体の中でも外でもいい)
  • ヨガなど反復動作に没頭する方法
  • 過去や未来ではなく、現在にのみ集中する(マインドフルネス)

 

などがあります。

 

瞑想は近年のよく取り上げられている話題ではありますが、実際には一朝一夕で習得できるものではありません。本質的に意識のコントロールというのは難しいのです。

 

ですから、これらはそれぞれ別記事で今後取り扱ってみたいと思います。

 

 

参考書籍

以下の書籍を参考にしました。

論文などの参照なども掲載されており、信頼の置ける内容となっています。

 

今回掲載した内容はこの本のほんの一部です。他にもたくさん有益な情報が載っており、専門家でなくとも分かるように、非常に幅広い内容をカバーしてくれています。

脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド

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  • 作者: アルバロ・フェルナンデス,エルコノン・ゴールドバーグ,パスカル・マイケロン,山田雅久
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2015/10/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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このような専門レベルの情報を日本語で読めるのは、日本自体が科学技術大国でもあるからです。普通は英語で文献を読まなければならないところを、専門レベルの話を日本語に落とし込んで説明できる専門家が日本にはいます。

 

こんな恵まれた環境はなかなか無いので、是非興味を持った方は読んでみてください。